Salesforceによると、2025年までにブランドと消費者の間のコミュニケーションはその95％がAIツールによって自動化されると言われている。この時代の変革期において、イノベーションを推し進めるために最も重要なスキルとなるのは人の想像力だろう。

未来学者のNikolas Badmintonは、20世紀半ばに始まった「インフォメーション/情報の時代」という、情報技術が経済成長の主要な原動力となった時代から、個人や集団がもつ創造力が経済的、環境的、そして文化的価値を生み出す「イマジネーション/想像の時代」へと社会は進化していくと考えている。

この想像の時代において、人類は「ブジャ・デ」（デジャブの逆）というアプローチを取り入れることになる。今日までに山積する問題を解決するための新たな知見を見出すためには、大きな夢を描く姿勢、ある意味子どものような発想が必要になるだろう。

想像力を広げようとした時、クリエイティブ領域のポテンシャルを高め、クリエイティビティを身近なものにしてくれるのがAIツールだ。都市、アート、エンターテインメントなど、さまざまな分野での可能性を切り開くことになると期待されている。

Zach Katzは、自然言語による記述で画像やアートを生成することができるAIツールDALL.E 2を使って、都市を歩行者に優しい場所に再設計する実験を行っているアーティストだ。彼は自分の住所のGoogleストリートビューをベースにさまざまな要素を追加したり削除したりしながら、都市計画の新しい姿や再設計のアプローチを提案している。また、ロサンゼルスを拠点とするアーティスト、Paul Trilloは、同様にDALL.E 2を使って30秒間のファッションショーを生成し、未来のスタイルを想像する試みを行っている。

一方、ロンドンのセントラル・セントマーチンズを卒業したDanielle Adams は、今は亡きファッションデザイナー Alexander McQueen のクリエイティビティを後世に伝えるためAI を活用した。Post-McQueen と題されたこのプロジェクトで、アルゴリズムに Alexander McQueen の作品の画像を読み込ませ、McQueenのクリエイティビティ的DNAを「蘇らせ」ながら、新しいファッションデザインをAIモデルに生成させることに成功した。

キーポイント

自動化の発展が私たちの生活に影響を与え続ける中、想像力はクリエイティブなアウトプットとストーリーテリングの新時代を形作るために重要な役割を担う。表現しにくいコンセプトを数分で視覚化できるなど、スピード感という点でも人間のクリエイションをサポートする力が確かにある。今日、AIが人間のクリエイティブな仕事を奪うのではないか、という議論が盛んだが、AIツールを賢く使えば、思いやりや共感、想像力など、人間が発揮すべき資質をさらに活かすことができるはずだ。

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