デジタル世界はますますリアルでそして流動的なものになっていく。望むなら、デジタル中心に人生を送ることだってできるようになるだろう。同時に、進化するフィジタル・テクノロジーは、現実と仮想のギャップを埋め、離れた場所でのコミュニケーションや魅力的で新しい体験を可能にしていく。

DataReportal社の「Digital 2022 Global Overview Report」によると、一般的な生産年齢にあるインターネットユーザーは、1日に6時間37分、インターネット機器およびサービスを利用しており、これは1年のうち100日間に相当する。ボーダーレスなサイバースペースで過ごす時間が増えれば、地理的な問題は少なくなるだろう。

この状況を考えると、将来、人間は地理的な位置関係ではなく、イデオロギーや興味関心を共有することでコミュニティを形づくり、非西洋的なものが国境を飛び交い、グローバルなポップカルチャーを生み出すようになるだろう。すでに、インドのスタートアップOneRareは、メタバースとボーダレスブロックチェーンを活用し、世界の料理界で起きているできごとをより身近なものにしようと考えている。このアプローチは、世界各地のシェフを巻き込んで、バーチャルレストラン、イベント体験、ユニークなゲームなどのバーチャルな食体験を提供し、世界中の参加者に食文化を伝えることを可能にしてくれる。

また、他の分散型ネットワークと同様に、ユーザーにデータのコントロール権と所有権を提供し、共通の興味、目標、価値観でつながる場として、グローバルにアクセス可能なDAO（分散型自律組織）が台頭する動きもある。CityDAOは、ワイオミング州の1区画の土地を足がかりに次世代型の都市建設を目指すプロジェクトだが、ここにはグローバルに活躍する人材が集まり、都市計画や管理方法を民主的に議論しながら進めている。ソーシャルDAOのFriends With Benefitsは、メンバー同士をつなぐ、いわゆるデジタルネイバーフッドを提供することで、さまざまなサブカルチャーが花開くコミュニティ経済の創造を目指している。

キーポイント

場所という概念は、現実世界と仮想空間が共存することによって複雑化し、ローカルとグローバルの捉えられ方は移り変わる。西洋的な視点はもはや主流ではなくなり、多様な観点が入り交じるようになる。その意味でも、メタバースには世界のさまざまな地域の人々を団結させる可能性が秘められている。わくわくするような魅力的でアクセスしやすい方法で、文化的理解と共感が促進される世界で、新しい美的感覚やクリエイティビティのレベルを高めるためにも、デザイナーやイノベーターは、いまからニッチでローカルな多様なプレイヤーを見つけ出し、コラボレーションする準備を整えておくことが重要だ。

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