一般的に、シニア世代とテクノロジーは相容れない、と社会は思い込んでいます。しかし、世界中で高齢化が進み、年齢を問わない技術の必要性が高まる中、最先端のイノベーションを考えるとき、高齢のユーザーが何度でも使いたいと思うような工夫と動機づけがテクノロジーに求められるでしょう。

YouAreUnitedとのインタビューで、Age-Wellのサイエンティフィック・ディレクター兼CEOのAlex Mihailidis博士は、人々が交流できる新しい仮想空間を提供するメタバースは、高齢者にもその価値を提供できると確信している、と述べています。「何よりもまず、高齢者が社交の場や、友人、家族、コミュニティとのつながりを維持するのに役立ちます」と博士は主張し、さらに「ずっと好きだったけれども体が不自由になったためにできなくなってしまったことや、興味を持っていたけれどトライできなかった活動ができるようになるのです。このように、メタバースとそこでのさまざまなツールやアプリケーションが高齢者の可能性を広げ、また、医療従事者と連絡を取り続けるという点においても、より大きな役割を果たすでしょう」、とその利点を伝えています。

Age-wellと並んで、シニアユーザーを第一に考えたエコシステムを開発している企業がいくつかあります。

MyndVRは、特に物忘れに悩むシニア向けのアプリケーションを開発しており、福祉施設や介護施設に提供されています。この装置を使ってバーチャル・リアリティを利用し、例えば、行ったことのある場所に移動することで、昔の記憶を呼び起こしたりすることができるかもしれません。

Rendeverは、特に高齢者の社会的・精神的なウェルネスに焦点を当てた、バーチャルリアリティプラットフォームのリーディングカンパニーです。このVRプラットフォームのリライブ機能では回想療法を可能にし、リインスパイア機能による共有体験の力で新たな友好関係を作り出します。

上記の例も含めて、高齢者に優しいデジタル環境を生み出す柱となるのは、ユーザーフレンドリーなインターフェースと高齢者に特化した独自のサービスの２つです。前者は、高齢者のコミュニケーション能力（視覚や聴覚の障害、情報の保持や複雑な処理を繰り返す能力の低下、気分の不安定さ、震え、声の変化など）を理解することが重要で、後者においては、健康的な加齢に関連するニーズを徹底的にマッピングし、把握することが必要となります。ちょうど、国連は最近、この領域における最優先事項として、年齢差別（エイジズム）と闘い、包括的な長期ケアを提供するために、インクルーシブな建物の構築が重要であることを強調しました。より公平性を高めるため、この課題に取り組むためのガイドラインは、ミラーワールドの建築を参考に組み立てられるかもしれません。

Article powered by WGSN.com